ていぱん備忘録

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橋の下

こっちは締切に間に合った方

 

 これは僕が合体メカだった頃の話です。

 その年の僕は大学に受かり、長年の受験勉強から解放されて精神的に浮かれていました。
 そのせいか、今思うとかなり突飛な行動をよくしていたんです。
 片道3時間掛けて港まで歩いて行ったり、夜の公園で無言で一人踊り狂ったり。
 橋の下で寝るのもそうした行動の一部でした。
 僕が通う大学の近くには大きな川があり、川沿いの土手は2段で上の段は舗装のない砂利道、下の段は草が生い茂っていました。
 そんな川の橋の下、砂利道の方で昼寝するとめちゃくちゃ気持ちが良かったんです。
 川沿いですから春風も心地よくて。
 で、ある日いつものようにそこで昼寝していると、急に息苦しくなって目が覚めました。
 慌てて辺りを見渡すもそこには誰もおらず、相変わらずの砂利道でした。
 ただ、普段は涼しいくらいの風が酷く冷たく感じたんです。
 それもそのはずで、僕は全身が水浸しでびしょびしょになっていました。
 さすがに怖くなって家に帰ったんですが
 その日は快晴で、土手の下の段に落ちたわけでもなく、周りに人もおらず…
 じゃああの水は、河底のヘドロのような臭いの水はどこから来たのか?
 もしあのまま寝続けたらどうなったのか?
 
 それ以降もたまにその橋の下には行きます。
 相変わらず春風は気持ちよく、座り込むと段々眠気が誘われてウトウトしてしまいます。
 そうしていると、あの臭いが漂うんです。
 ヘドロのような、鼻につく河底の臭いが。